くノ一、ハタチ。

女子大生の徒然なる日々。

美容院へ行った件。(つづき)


髪を金髪にしようと決意してからの私の行動は速かった。




まず"ホットペッパービューティ"なるもので美容院をあさった。あさりまくった。



そうすると人間というのは恐ろしいもので、「どうせなら地元じゃなくて、ちゃんとしたところで染髪したい…!」という欲がでてきた。



そこで私は、全国でトップレベルのオシャレタウンである"代官山"のウッディな雰囲気の美容院をチョイスし、「君に決めたっ!!」といった具合で素早くネット予約をした。ネット予約はポイントがついてお得。




それからというもの、気が気ではなかった。金髪にしたかったわけでは無かったが、もはや金髪にするということが私の中で一種のイベントになっていて、完全に浮き足立っていた。




美容院決戦の前日


浮き足立っていた私は友人に向かって、


「そろそろ、さとみ(石原さとみ様)でいるの飽きたし、ローラ(モデルの方)になってくるわ〜!オッケ〜◎」と豪語した。


※以下、脳内イメージ。


BEFORE↓

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AFTER↓

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ごめんなさい。

何もオッケーじゃない。



このような身の程知らずにも程がある発言をしたこと、この場を借りてお詫び申し上げたい。






そして当日。



私の気分は朝から"代官山"であった。少しでも"代官山"に近づくべく、イングリッシュマフィンを焼いた。イングリッシュマフィンで天下の"代官山"に近づけるなら安いものである。


イングリッシュマフィンを焼いたものの、イングリッシュに相応しい食材が無かったため、とりあえずイングリッシュにバターを塗り、イングリッシュマフィンをモソモソと食べた。そろそろイングリッシュと言いたいだけなことがばれてきそうなのでやめる。




完璧な"代官山ブレックファースト"を食した私は、意気揚々と美容院へ向かった。いざ、ゆかん。




しかし、代官山という未開の地に足をつけた途端、私は戦慄した。




「なんだこの空気は。」




私が知っているオシャレタウンの最上級は"明治神宮前"である。"明治神宮前"よりもシャレた街を私は知らない。



しかし、今、この瞬間、

歴史は塗り替えられた。


"代官山"という地は、"明治神宮前"よりもだいぶオシャレだった。まず空気から違う。こわい。




「誰がここで服買うん?」と言いたくなってしまうようなハイセンスなブティックが立ち並び、1杯400円するコーヒー屋が軒を連ねていた。



ここはマンハッタンなの??ブルックリンなの??イングリッシュマフィンなの??




怖くなった私は、もともと丸まっている背中をさらに丸め、GoogleMapさんだけを見つめながら目的地へそそくさと急いだ。




着いた。




ドアを開け、美容院へ足を踏み入れた。何もかもがオシャレである。こんなドア見たこと無い。観葉植物はどのように育てたらこんな麗しくなるのだろうか。借りたトイレは私の部屋より綺麗だったし、良い香りがした。




誘導されるがままに椅子に座ると、可愛らしい女性の方が担当についてくれた。"代官山"で働くためには、やはり"代官山らしさ"が必要なのだろうか。




美容師さんに先ほどのローラの写真をみせて「あ…あのこんな感じの…髪にしてください……。」と遠慮がちに言った。


これが「ローラになるッス。」と前日友人に豪語していた者と同一人物とは思うまい。



私は周りのお客さんや美容師さんに「え、こいつこんななりしてローラ目指してんの??チョーウケるんですけど!」と思われるのが恥ずかしすぎたため、敢えて「ローラ」という単語は口にしなかった。



しかし、その美容師さんは大声で言った。

「あー!はいはい!!ローラちゃんですね!!可愛いですよねぇ!!ローラちゃんになるにはですね、ここをこうして〜〜〜〜(以下略)。」




やめて。




そんな言い方をしたら、まるで私がローラに並々ならぬ憧れを抱いているみたいではないか。周りから「え、こいつローラになりたいと思ってんの?身の程知らずすぎない?なれるわけなくない?」と思われているに違いない。



私はあくまでもこの髪型になりたいだけであって、ローラになろうという野心を抱いているわけではないのである。誤解を招く言い方さ避けていただきたい。私は周囲の目線から逃げるようにテーブルにあるアメを見つめてひたすら頷いた。




結局、私は髪型を提示して頷いただけで、全ての方向性は美容師さんに丸投げした。いよいよ施術の始まりである。




その美容師さんは、親切心からなのであろうが、私のテーブルにローラが載っている雑誌をたんまり持ってきてくれた。しかしその親切心は、今の私にとっては羞恥心を煽るものでしかない。



余談であるが、私は「美容院の鏡には実物よりもブスに見える加工がされている。」という自論を有する。美容院に行く度に思うのだが、あれっていくらなんでもブスに見えすぎない?


特に髪を全てタオルで上げている時の顔は、いくら本人でも見るに堪えない。こんなの現実なわけない。絶対これは負のマジックミラーだ。そう信じたい。




髪を染め、シャンプーをし終わると、先程の可愛らしいがなかなか攻撃的な美容師さんに変わって、ホスト崩れみたいな男性が髪を乾かしてくれることになった。


決して悪意は無いが、この男性は"代官山"で働くとしても、"代官山らしさ"は必要ないのだと私に気づかせてくれた。繰り返すが、悪意は無い。





「こんにちは〜!髪めっちゃ変わったね〜!いいね〜!(ドライヤー:ブウォーーーーーー)」


「こんにちは、宜しくお願いします。あ、ありがとうございます。」

(こいつ、いきなりタメ口かよ。私はお前の親戚でもなければ友達でもない、ただの初対面の顧客なんだぞ?)



「おねいさんいくつなの〜?(ブウォーーーーー)」


「あ、ハタチです。」

(言葉発する際、最初に「あ、」と言ってしまうのは癖である。)

(いきなり年齢を聞いてくるあたりこいつツワモノだ。)



「いやー!若いねー!いいねー!(ブウォーーーーー)」



「いやいや、そんなことないですよ。というより、お兄さんも若いじゃないですか。」

(まあ若いとしか良いようないよな。え、へー、年齢のわりに老けてるね?とか正直に言えないしね。)

(こいつ多分30代後半だけど、30代前半に見えなくもないという体にしておこう。)




「よく言われるんだけどさ〜!俺こう見えても、もう28歳なのよ〜!(ブウォーーーーー)」





(全然みえる。)





「あ、そうなんですかー!

見えないですねー!(ある意味)

あはははっ!」

(何がおかしいのか分からないが、困ったら笑うしかない。)





ここへきてなんだが、私はそもそも美容院が苦手である。いや、髪を変えることは好きだから、美容院自体は好きなのだが、如何せん美容師さんとたわいも無いトークをするのが至極苦手なのである。



たまに話の面白い美容院さんもいるが、多くの場合は仕方なく話してくれてる感がすごい。義務感がすごい伝わってくる。


立ちっぱなしで髪を整えて頂いているのに、尚且つ気を使わせて喋らせているのが申し訳なくなる。そのため、こちらも少しでも話しやすい客であろうとして気を使う。気使い合戦である。




髪よ、早く乾いてくれ。




そんなこんなで(どんなこんな)

私の髪は生まれ変わった。女性の美容師さんにセットもしてもらった。さすが"代官山"といえよう、首から上の、顔を除く部分がすごくオシャレである。



しかし、ローラではない。これは間違いない。雑誌の表紙でキラキラと笑ってるローラがこちらを見つめてくる。まぶしい。


冗談でも「あれれ?ドッペルゲンガーかなぁ??」とか言えない。そもそも遺伝子レベルで色々違いすぎるし。




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※現実




結果としてローラにはなれなかったが(いや別に目指してないけども?)、私的には代官山風のオシャレな金髪にできて大満足である。新たな自分の扉を開いた気がした。髪を染めるだけで新たな自分を見つけた気になれるなんてお手軽な話であるが。





友達には、「ハタチにしてグレたか?」「性格と髪型の不一致」「2年越しの大学デビュー(笑)」などと評されたが、気にしない。



私はよく道を訪ねられるのだが、金髪にしてからは一度も聞かれていない。しかし、気にしない。

むしろ、「怪しい人には話しかけてはいけない。」という日本人の行き届いた危機管理能力の高さに関心すらする。





お会計の際、担当してくれた美容師さんが、「このワックス"濡れ感"がでて、とてもいいですよ〜!ローラちゃんも使ってるんですよ〜!」といってニーキュッパのワックスを絶妙なタイミングで私に勧めてきた。



ローラは今日一日、ひと時も私を離しくれないらしい。それもこれも前日に「ローラになるッス」と言ってしまった天罰であろう。







私はそのニーキュッパのワックスを握りしめ帰路についた。



尚、濡れ感は未だ感じたことが無い。